優れた論文

今,ある人の助手論文を読んでいる。
助手論文だけあって相当長い。200頁くらい。


だけど,その人の論文の書き方,論理構成,筆致,どれを取っても非常に優れており,読んでいて苦痛,退屈さをまったく感じない。
その論文は,オイラが研究している法律に関わるある事象を取り上げて,それに関する米国の判決を素材とし,当該判決の論理構造をテクストに基づいて丹念に解き明かし,当該判決が生成された歴史的経緯を追いながら,当該判決が導いた法理の重要性を指摘するものだ。


今まで,結構な数の論文を読んできたが,この論文は,その中でも頭ひとつ抜けているというか,突出して優れた論文であるうように思う。
問題意識を明確に持ち,その問題意識を解明するために適切な素材を見つけ出し,当該素材をその内的視点から解明しようとするその姿勢から紡ぎだされる文章というものは,これほどまでに人を惹きつけるものなのかと改めて感じた。


それはあたかも,自らがたどり着いた頂に,一般の人でも登れるように,階段を一段一段築きあげていくような,そんな作業である。


こういう仕事ができる人になりたいものです。