時代を創る人びと

本日付け赤旗に,広島地裁で争われていた原爆症認定訴訟の原告側全面勝訴判決の記事が載っていた。その内容は,今年5月の大阪地裁で出された判決に次いで,厚生労働省の認定審査方法を正面から批判したものとなっていた。


戦後60年,数々の権利獲得闘争を闘った多くの人びとに続く画期的な勝訴であり,その労苦を思うと,真の政治的解決が早期に図られることを願うばかりだ。
これらの勇気ある人々の闘いは,国民の権利を剥奪あるいは縮減しようと企む政府に対して大きな反撃となるばかりでなく,憲法をより国民生活に内実化させる上で大きな歴史的意義を持つものだ。


法を創るのも人間なら,法を適用・運用するのもまた人間である。
法解釈とは,条文をただ単に眺めていればできるものではない。そこには,必ず解釈する者の価値観が介在する。
そこに働かせねばならないのは,人間としての良心と他者への想像力だろうと思う。
今回の判決や前回の判決は,被爆者達の永年の苦しみや怒りに対する深い想像力が働いた結果だろう。


大阪地裁のケースのように控訴することによって,この被爆者達と裁判官の協同による歴史的事業を妨害することだけは,絶対に許されないことを政府は肝に銘じるべきだ。