繋がってるもんだ

先日,サンデル先生の『これからの「正義」の話をしよう』を読んでるという話をしましたが,そこで論じられているのは,正義を,幸福(welfare),自由(freedom),美徳(virtue)の3つの側面・アプローチで考えてみようというお話なのですね(たぶん)。


幸福が功利主義に対応し,自由は,一方でリバタリアン,他方ではカントやロールズあるいはアリストテレスなんかの議論を取り上げられておりやす(哲学的には標準的な議論)。
そして,美徳の側面は,サンデル先生が唱える理論というか属する学派というか,「位置ある自己」の議論ですね。


これを読んでいて,オイラは思わずハッとさせられたのです。
というのも,オイラが勉強している法律は,市場経済を規律するものなのですが,そこで語られる立法趣旨というか,制度論というか,その法や制度が目指すべき目的とは何なのかという議論において,一方で効率性や厚生の増大が最大の目的であるという議論があり(こちらが優勢),他方で自由の尊重こそが重要なのだという議論があるのですね。


あまり勉強もせず,日々の業務に追われていると,そこまで原理的に考えることはほとんどないのだけれど,なぜその行為が禁止され,この行為は許容されるのかということを考えるに当たっては,実は非常に重要なことであり,このバックボーンがないと,経済を規律する法としては致命的になりかねない過剰規制や過小規制の弊害を生むことになってしまいます。


どのような法や制度も多かれ少なかれそういう側面はあると思いますが,経済に関する法は特に,違法性判断基準の設定が非常に難しいことが多いのですね。その時代,社会の価値観にも大きく左右されるし。


だから,常に,原理的に考えることを怠ってはならないのだと思います。
ここにくるまで,本当に不勉強だっとなとつくづく思いますです。


サンデル先生の本は,だから,そういうことを再認識させてくれたという意味で非常に重要なものでした。


以上,おわり。

寝ますzzz