久しぶり。

いや〜,時の経つのは早いもので,最後にブログを書いてから,かれこれ3週間くらい経ってしまった。
この間,家探しやその後の諸手続でバタバタとして,なかなか書く気が起きなかった。
この3週間くらいの間に,世間ではいろいろあって,書きたいことは結構あったんだけど,自分の自由な時間が短くなると,どうしても読む方が優先してしまう。まだまだ,ブロガーとしては,一人前ではありませんな。


そんな中,なぜオイラが今日は書く気になったかというと,とても胸が熱くなることがあったからだ。
今日,NHKの「課外授業 ようこそ先輩」という番組で,作家の石田衣良が出ていた。石田衣良の本は,以前一冊だけ読んだだけだが,マイパートナー一押しの作家なので,注目している人物の一人ではある。が,自分ではなかなか出演番組などをチェックできない。そういうことには,むしろマイパートナーの方が嗅覚が鋭く,今回もマイパートナーから録画の要請を受けて,見たという経緯だ(ちなみに要請を受けたのは,深夜の午前3時…)。


「課外授業 ようこそ先輩」は,いろいろな著名人が自分の母校に行って(もしかしたら全てが母校ではないかもしれないが),小学生に思い思いの授業をするというものだ。


今回,石田衣良は,授業の冒頭,生徒達にこう質問した。
「『将来の夢は何?』と大人から質問されるのが大嫌い人いる?」
たぶん,石田衣良自身が小さい頃,いや,結構大きくなってからも,大人にこう問われていやだった経験を持っているのだろうが,大人はこの質問をよく子供に投げかける。夢を持て,夢を持たないとろくな人間になれないぞと。


そして,一人の生徒が嫌な理由としてこんなことを言っていた。
「自分の夢を親とかに話すと,ことあるごとに『そんなことじゃ●●にはなれないわよ。』といわれるから。」
なるほどなー,うんうん,そういうことってあるよなー,とかテレビを観ながら一人でうなずいていたが,何よりも,その素直な答えを引き出せる石田衣良がすごいなと思った。この人の視点はすごいなと思った。


彼は,この課外授業で,生徒に自らの考えや不安,感情を作文という形で書かせた。
生徒達に,自ら書かせ,それを発表させて,みんなで考えさせる。それが重要だと思ったのだ。


生徒の中に一人,石田衣良が発する質問にもあまり答えず,なんとなく無気力感漂う男の子がいた。その子は,自らの苦しみや普段人には話せないこと,もやもやしたことを書いてみようという課題に対し,こう書いていた。
「僕には親や友達に言えないことがある。でも,これ以上は書けません。」と。

しかし,次の日の課題で,石田衣良はこんな課題を出した。
自分らしさは何か?自分は,ここだけは譲れないというものを書いてみてと。
そうしたら,その子はこう書いた。
「泣いている子がいても,絶対に無視したりしないこと。」
なぜかと石田が問うと,その子は,自分が小さい頃いじめに合っていたこと,だから,いじめられたり,怪我をして泣いている人がいたら助けたいと思うと答えた。
そこで,石田衣良は,思わず涙する。石田は,「最近涙もろくなってだめなんだよなー」と照れ笑いしながら,とても嬉しそうな顔をしていた。


石田衣良の作品に一貫して流れているのは,そうだ,この視線なのだ。
人間に対する,子供たちに対するこの眼差しなのだ。石田衣良の目線はいつも暖かい。


石田衣良の作品をちゃんと読んでみよう。
石田に魅了された者がまた一人,生まれた瞬間であった。