音楽という力

昨日,知り合いの人が出るというので,妻に誘われライブに行った。
5組のグループが20〜30分くらいの持ち時間で順番に演奏していく。


6時から開始だったが,おいら達はいつものごとくギリギリに会場について「ふー,間に合ったー」と中に入ると人はまばら。最初のグループの演奏が始まっても,ほとんど人の入りは変わらず,「あー,やっぱりアマチュアのライブは厳しいんだなー」と思っていたら,3組目,4組目と進んで行くうちに最初の何倍にも人が膨れ上がって,瞬く間に会場が埋め尽くされた。「そうか。こういうライブでは,人気のあるグループは最後の方にもってくるもんなんだな。」と,ある意味当然なことにそのとき初めて気づいたのでした。


ただしかし,一番人気のあったグループの演奏が始まって間もなく,そこに集ファンの声援とは反対に,おいら達の期待はそがれていった。結局,2曲目の途中で席を立ってしまい,最後まで聞くことなく会場を後にした。


オイラとしては,むしろ,ほとんど人の集まらなかった1組目や2組目のグループの方が何がしか心に残るものがあった(ちなみに,妻の知り合い2組目)。
決してうまいとはいえないそれらのグループは,それでも必死に何かを伝えようとしたり,素直な心情を吐露しているような気がしたからだ。


そこで,ふと考えた。
人が心を動かされる音楽とは何か。
音楽が心底好きでいろいろ聴いている人は,いろいろ好みのリズムがあるだろう。
でも,オイラみたいな,あまり音楽を聞かない人間でも心を動かされる音楽は,やはり歌詞の力によるところが大きい。
自らの経験と実感を,自らの言葉に転換させて音楽に乗せる。
純粋な思いを言葉に乗せ,何の打算もなく,自らの存在とともに他者の存在をも意識して編み出された言葉が空気を震わせ,波動となって心に届いたとき,そこには何がしかの心の動揺があるのではないか。


何でも消費されてしまう現代において,そうではないものに触れたときの喜びは大きなものです。そのような芸術なり,文化なりにもっと光を当てるべきではないのか。そんなことを考えた一日でした。