知る者と知らざる者の間

あー,なるほど。
戦争を推進する本当の原動力はここにあったのか。
そんな感想を持った。


先日,クリント・イーストウッド監督の「父親たちの星条旗」を観てきた。
硫黄島の戦闘シーンと,その後,「英雄」として戦費調達の宣伝マンとして駆り出された青年達の姿を交互に描いたこの作品から,真の戦争推進力を見た感じがした。
それは,現実を知る者と知らざる者との間にある,あまりにも大きな断絶・ギャップではないかと。


人間的な一切のものを否定された世界,まさに地獄の現実を体験した者達と,その現実を知らずに,何かスポーツでも行われているかのような錯覚を抱き,戦争を推進する者たち。その果てしないギャップが,その地獄を繰り返すということなのか。


ギャップを埋めるために我々ができること。
それは,想像し,考えること。それしかない。
どんなに虚しく,果てしない作業であろうとも,それをやめることはできないのだ。